Project
SOCIAL SQUARE 尼崎
Scope
Design
街と、社会と、繋がる広場











本計画は、特定非営利活動法人ソーシャルデザインワークス(以下、SDW)が取り組む、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、定着支援などの障害福祉サービスを提供する「SOCIALSQUARE」の新たな拠点計画である。計画地は兵庫県・阪急塚口駅近くに位置し、高齢者から若年層まで多様な世代が暮らす地域である。近年は若いファミリー層の増加により新たなコミュニティが育まれる一方で、社会との関わりや生きづらさに悩みを抱える人々も少なくない。SDWは、障害のある方や生きづらさを抱える方の「自立した生活がしたい」「働きたい」という想いを支え、社会との接点を生み出す場づくりを実践している。本計画では、施設完成後に地域とのコミュニティ形成や連携などの伴走支援を担う尼崎を拠点にコミュニティデザインに取り組む株式会社ここにあると共に、SDWが掲げる「社会と、繋がる広場」を体現する拠点づくりを目指した。 計画地となるテナントには、特徴的な階段状のスペースが存在していた。一般的な福祉施設では避けられることも多い構成だが、SDW代表から投げかけられた「障害のある方、生きづらさを抱える方にとって、“安全な場所”だけが本当に重要なのか?」という問いが、この計画の出発点となった。そこで本計画では、利用者を守られた空間へ閉じ込めるのではなく、地域や社会へと緩やかに接続していく“まちの延長にある広場”として空間を捉え、「街と、社会と、繋がる広場」というコンセプトを掲げている。計画にあたっては、テナント空間そのものをひとつの“敷地”として捉え直し、その内部に小屋や路地、広場のような多様な居場所を点在させることで、小さな街並みのような空間を形成した。 この空間には、性格の異なる三つの広場を計画している。ひとつ目は、地域や社会へ開かれた活動の場となる「まちの広場」を施設の入口側に配置することで、外部と内部を緩やかに繋ぎながら、日々の活動空間とまちとの間を取り持つ緩衝帯として機能している。二つ目は、「交流広場」である。まちの広場と一体的に利用されることで、利用者の活動や交流が自然とまちへ滲み出し、多様な関係性を育む場となっている。そして三つ目が、この施設を象徴する「階段広場」である。段状の空間を活かしながら、多様なアクティビティや偶発的なコミュニケーションを促し、利用者それぞれの居場所や拠り所となる空間を形成している。さらに、これらの広場を編み込むように、小屋のような個室や、地域や社会との接点を生む縁側、一人で落ち着いて過ごすことのできる自習・学習スペースを配置した。また、周囲と適度な距離を保ちながら過ごせる路地状のスペースを設けることで、利用者がその時々の気分や状態に応じて、自ら居場所や距離感を選択できる環境を整えている。さらに今回は、地域の方々も空間づくりに参加できるよう、「まちの広場」の一部壁面やスツールをワークショップ形式で塗装するプロセスを計画した。空間を共につくる体験を通して、この場所への親近感や愛着を育み、地域の人々が自然と足を運ぶきっかけとなることを目指している。 ここでは、“福祉施設だから”という固定的な枠組みではなく、一人の生活者として地域や社会と緩やかに繋がり、「自分なりの社会との関わり方を選択できる」という感覚を育むことを大切にしている。利用者が他者やまちとの関係性を自然に築きながら、自分らしく社会へ踏み出していける場となることを目指している。





