Project

羽曳野の教会 (藤井寺中道場)

Scope

Design

建ちふるまい

本計画は、世界各地で活動する宗教団体の拠点の一つである藤井寺中道場を移転する計画である。計画地は大阪と奈良を結ぶ幹線道路に面し、ロードサイド型店舗や住宅、工場が混在する環境にあり、表通りは交通量が多く活気に満ちるエリアである。一方で、一本奥に入ると静かな住宅街が広がる対照的なエリアに位置している。この場所において、多くの組み手さん(利用者)が集い、日々の活動を通して心身を整え、本来の自分や生き方、価値観を静かに見つめ直すための拠点が必要となる。計画に際して、岐阜・高山にある本部や関連施設をはじめ、いくつかの既存拠点を訪れると、団体として地域や社会、環境への意識や姿勢は強く持ちながらも、本部や関連施設以外の活動拠点では、活動や地域との繋がりが建築の印象として外からは見えづらいという現状も明らかになった。そこで本計画では、日々の活動を行う静かな環境と、地域に開かれた環境という異なる性質を併せ持つ場を創出すると同時に、団体が大切にしている価値観―地域・社会・環境との共生や日々の実践―を建築全体で体現し、その姿勢が内に留まるのではなく、街へと穏やかに滲み出るような開かれた建築を目指した。 敷地条件と団体が定める計画ルールや各室の性質を整理することで、地域との接点を生み出す生活エリアを道路側に、組み手さんが集い活動を行う活動エリアを敷地の奥側に配置する構成とした。これにより、街との繋がりを育む場と、喧騒から離れた静かな活動の場という異なる性格を併せ持つ空間が生まれている。その二つのエリアを分節しながらも繋ぐのが、東西に伸びる“光の通り道”であり、陽光が抜けるこの空間は、生活エリアと活動エリア、日常と非日常を行き来する主要動線として機能する。訪れる、移動する、そして帰るとき、必ず通り抜けるこの場が、組み手さんにとって心を整え、切り替えるためのセットポイントとなるよう意図している。また、各エリアのボリュームを段階的に変化させることで、奥の活動エリアにも南からの光を導き入れ、団体の象徴である“光”を建物全体で感じ、体感できる空間構成としている。 建物は幹線道路から敷地の奥へと大小のボリュームを段階的に配することで建物の威圧感を和らげ、街並みとの調和と街への立ち振る舞いを意識した構成としている。屋根や軒の形状、高さや長さは街への寄り添い方、滲み出し方に呼応して設定され、全体として柔らかく開かれた印象を形成している。内外の素材には、組み手さんの人柄や自然との共生・共存を重んじる姿勢を表現するため、温かみと手触り感のある自然素材を積極的に採用し、宗教施設にありがちな威圧感や閉鎖性を軽減している。さらに外構では、緑の保全や農園活動を通じて地域との関係性を育むことを意図し、人通りに近い場所に植栽や農園を配置することで、地域住民との会話のきっかけを生み出しながら、訪れる人々をやさしく建物へと導く風景をつくり出している。 ここ藤井寺中道場が、地域との繋がりを育むと同時に、活動する組み手さんにとって、ゆとりと安らぎの中で心身を整え、自然と調和しながら五感を研ぎ澄ます場となり、本来の自分や生き方、価値観を静かに見つめ直すきっかけとなることを願っている。

竣工|2023 所在地|大阪 用途|教会 構造・規模|鉄骨造・地上2階建 敷地面積|1,016.71㎡ 延床面積|765.96㎡ クライアント|崇教眞光 施工|眞正工業株式会社 構造|YM構造設計 設備|GE設備 照明|遠藤照明 ランドスケープ|Garden design office 萬葉 設計・監理|team raw row 写真|大竹央祐
© 2026 team raw row inc. All Rights Reserved.
© 2026 team raw row inc. All Rights Reserved.
© 2026 team raw row inc. All Rights Reserved.