Project
ord.
Scope
Design
活動と呼応する家具






本計画は、ネイルサロン「ord.」が新たにエステサービスを導入するにあたり、そのための施術ベッドを製作するプロジェクトである。ord.の店内には、オーナーの審美眼によって選び抜かれた家具や小物が丁寧に配置されており、空間そのものがひとつの完成された世界観を形成していた。そのため、新たな家具を加えることは、単に機能を追加することではなく、既存の空間との関係性を慎重に考える必要があった。計画の出発点となったのは、「この空間に馴染むベッドが見つからない」というオーナーの言葉である。そこで本計画では、新しい家具が空間の中で強く主張するのではなく、自然と溶け込みながらも、そこで行われる活動に応じて姿や役割を変える存在となることを目指した。 ネイルサロンとしての利用が大半を占めるこの場所において、施術ベッドは使用しない時間が長く、固定的なベッドを置くことで限られた空間の余白を奪ってしまう。また、来店者の中には子ども連れの利用者も多く、待ち時間を快適に過ごせる居場所も求められていた。そこで、この家具はエステ施術時にはベッドとして、普段は子どもでも腰掛けられるソファとして機能する、2wayのソファベッドとして計画した。着脱可能なマットレスによって用途を切り替えることで、空間を占有する固定的な設備ではなく、その時々の活動に応じて柔軟に姿を変える家具としている。また、家具を構成する素材やディテールは、店内に配置された名作家具のプロポーションや質感を参照することで、新たな存在でありながらも空間に自然と馴染むよう計画した。ここでは家具単体の造形を追求するのではなく、空間の活動や人々の振る舞いと呼応しながら、その場の価値を高める存在としてデザインしている。 この家具は、ベッドでもありソファでもある。しかしそれ以上に、そこで生まれる多様な活動を受け止め、空間の変化に寄り添うための家具である。私たちは家具そのものではなく、活動との呼応性や多様性、そして長く使い続けられる普遍性をデザインすることを目指した。
