Project

阿倍野の家

Scope

Design

家族が集う中庭

本計画は、大阪市の中心部に位置するマンションの一室をリノベーションした住まいの計画である。当該地は都市の利便性を享受しながらも、下町の情緒が残る穏やかな住宅地にあり、隣接する公園では地域の子どもたちが集い、日常の中に温かな風景が広がっている。ここに暮らすのは、父・母・姉・弟の4人家族。クライアントとの対話を通じて、家族が互いの存在を感じながら、それぞれの時間を大切に過ごせることが、この住まいに求められていると感じた。家族それぞれの暮らしのリズムが交差し、自然にひとつの時間として重なり合うような空間として「どこにいても家族の気配を感じられる家」「自然と家族が集まりたくなるリビング」そんなテーマをもとに、家族のつながりと個の時間が心地よく共存する、豊かな住まいを目指した。 既存の間取りは、4つの個室とリビングダイニング、独立したキッチンからなる構成で、初見では細かく仕切られた空間の窮屈さを感じた。今回、求められている個室は3つであったため、ひと部屋を減らすことはできるが、コンクリート壁による構造的制約やキッチンの位置を大きく変更できない条件があり、限られた操作の中で空間を再構成する必要があった。そこで、既存キッチンが住まいの中央に位置している点に着目し、この中央性を活かし、隣接する公園側に家族が集うリビングダイニングを再配置することで、自然ともう一つの個室の位置も決まり、キッチンを中心に各室がゆるやかに囲むような構成が生まれた。家の中心には、公園のような穏やかな風景を内に取り込む“中庭”のような空間を設けた。この中庭は、リビングやダイニング、キッチンの機能を兼ねながら、家族の時間や活動を柔軟に受け止める場となる。また、公園に点在する岩が子どもたちの拠り所となっているように、この住まいでも造作ベンチを家族の拠点として計画し、暮らしの中心となる居場所を形づくった。 本計画では、“中庭のような外”をつくるのではなく、“中庭のように感じられるリビング・ダイニング”を目指した。家族の時間や活動の中心となる空間が、季節や時間の移ろい、光や気配に呼応しながら豊かに変化するよう、素材を丁寧に選定している。温かみと気品が共存する穏やかな雰囲気の中で、家族それぞれが心地よく過ごせる居場所をつくることを意識した。

竣工|2023 所在地|大阪 用途|住宅 構造・規模|鉄筋コンクリート造・地上13階 面積|116.18㎡ クライアント|個人 施工|株式会社リグランツ 設計・監理|team raw row 写真|大竹央祐
© 2026 team raw row inc. All Rights Reserved.
© 2026 team raw row inc. All Rights Reserved.
© 2026 team raw row inc. All Rights Reserved.